米子高専の学科再編
学科再編の狙い
時代の変化と技術の急速な進歩に伴い、社会で求められている技術者の姿も変わってきました。これからの技術者には、高い専門性に加えて複眼的視野と総合的な工学の知識や技術が欠かせず、さらにそれを自在に駆使できる能力が求められています。米子高専では、こうした世の中の変化に対応するとともに、教育内容の高度化を目指して、既設の5学科を1学科・5コース制に再編します。
再編のポイント
1学科に統合・再編することで各専門分野の交わりを促進し、異分野の知識や考え方の習得を図ります。例えば、学年やコースを超えた混成チームがアクティブ・ラーニング型のグループワークを展開するPBLという授業を新設し、複眼的視野を強化します。
入学後、2学年前期まではコース共通の専門科目を学び、各専門分野の特徴・将来像などについて理解を深めます。1学年の間に、志望する専門コースを見極め、2学年後期からの配属となります。コース配属は入学後の成績・希望調査・面談に基づいて慎重に行います。
従来は5年間同じクラスでしたが、再編後は2学年まで志望・専門コースによらないクラス編成とします。そのため、様々な志向を持った学生の交わりが促進され、チームで活動するために必要なコミュニケーションスキルが磨けます。
膨大な情報の中から新たな価値を見出し活用する能力を強化します。これは、これからの高度情報化時代において、専門分野にかかわらず必要となる能力です。さらに、情報系教育を推進する中核として情報システムコースを設置します。
包括連携協力協定を結んでいる鳥取大学医学部、YMCA米子医療福祉専門学校とも連携し、医療・福祉・介護・健康を題材とした、人のために技術を活用する学習を通じて、複数の分野を融合しながら新たな価値を創造するための能力を育成します。
学んだ専門知識や技術を社会に還元する能力や豊かな発想力を身につける実践的教養教育を全学年にわたって行います。さらに、社会科学系科目や外国語科目等を中心に国際性の涵養を図ります。
学科再編Q&A
Q.1 学科再編にともなって入学試験は変わるのですか?
A.1 今までは5学科構成で各学科40人の定員で入学試験を行ってきました。再編後は総合工学科1学科の定員200人で、推薦・学力入試ともにコースを指定しない一括入試となります。なお、学力入試は今までと同じですが、推薦入試は面接・在籍学校長から提出された調査書及び推薦書を総合して行います。したがって、これまで推薦入試で実施していた作文(デッサン)検査は廃止します。
Q.2 1・2年生の間の混合学級はどうやってクラス編成を行うのですか?
A.2 今までは専門学科を決めて入学していましたのでクラスメートは5年間同じでした。再編後は1・2年生の間は志望・配属コースによらない混合学級となります。混合学級のクラス編成は成績・男女比などを考慮して行います。なお、2年生後期は、専門コースに配属されますが、クラス編成は変更せず、専門科目の授業のみ各コースに分かれて受講します。3年生からは配属コースごとにクラス編成を行います。
Q.3 混合学級の間はどのような勉強をするのですか?
A.3 国語・英語・社会といった教養科目に加え、各専門コースの基礎知識を学びます。それによって、各コースの特徴・学修内容・卒業後の進路などについて理解を深め、自らの将来像を思い描き、2年生後期からの専門コース配属に備えます。それと同時に、高度情報化社会では必須の能力である数理・データサイエンスや情報工学の基礎も学び、コース配属後の実験・実習や卒業研究に備えます。
Q.4 専門コースへの配属はどうやって決めるのですか?
A.4 専門コースへの配属は学生の皆さんの成績・希望に基づいて行います。具体的には、特定のコースに多数の希望者が集中した場合は1年生の成績を考慮して配属を決定します。なお、各コースの志望状況がわかるように、定期試験のたびに志望コースのアンケート調査を行い、結果を公表します。また、学級担任は学生の皆さんが適切なコースを選択できるように面談などを通じて手厚く指導します。
Q.5 学科再編で新設されるPBLとはどのような科目ですか?
A.5 PBLとはProblem Based Learningの略で、学生の皆さんの自主的な探究活動を通じて問題発見力と解決力を養い、チームによる共同作業を通じて協調性やコミュニケーション力を強化することを目的とした新設科目です。具体的には、学年や専門分野を跨いだチーム編成で、課題発見・解決型のグループワークなどを行い、研究成果を発表します。この授業を通じて、幅広い分野の技術や知識を融合できる複眼的な視野を身につけることを目指します。