米子工専60年誌
4/136

Yonago National College of Technology 60th anniversary2校長挨拶創立60周年を迎えて米子工業高等専門学校校長山口利幸 産業界からの強い要請を受け、昭和36年に学校教育法の一部改正により高専制度が創設され、本校は当時の石破二朗鳥取県知事をはじめ鳥取県や米子市などの自治体並びに産業界からの大きな期待を受け、最初の東京オリンピックが開催された昭和39年に開校しました。そして、令和6年に節目となる本校創立60周年を迎えました。 開校当初は、機械工学科、電気工学科、工業化学科の3学科、1学年120名定員でスタートしました。その後の社会や産業界の進展に伴う多様な人材養成に応えるべく、昭和44年に建築学科を、昭和62年に電子制御工学科を増設し、学生定員は5学科、1学年200名の総計1000名となりました。さらに、平成16年には、高専本科の上に、より高度な専門的知識と技術を持った高度実践的技術者の養成を目的として、生産システム工学専攻、物質工学専攻および建築学専攻よりなる、1学年20名の専攻科を設置しました。 時代とともに進化してきた本校の取組みは10年毎に発行してきました記念誌に掲載されていますので、本稿では平成26年の50周年以降の取組みを紹介します。まずは、令和3年には、既設の5学科を1学科・5コース制に再編した「総合工学科」に大きく生まれ変わりました。機械システムコース、電気電子コース、情報システムコース、化学・バイオコース及び建築デザインコースから構成され、複眼的視野と幅広い知識をもち、自らの専門分野に異分野の知識や技術を融合して、新たな社会的・経済的価値を創出することができる総合力を備えた優秀な人財の養成を目指しています。また、文部科学省から令和4年に認定された「数理・データサイエンス・AI教育プログラム」の教育を実施しています。デジタルトランスフォーメーション(DX)革命が進む時代を迎えた今日、数理・データサイエンス・人工知能(AI)の基礎的素養を修得させることを目的として、全学科の学生が学べるようにカリキュラムを編成しています。さらに、文部科学省の高等専門学校スタートアップ教育環境整備事業に採択され、「地域協同を志向した起業支援プログラムの構築と運営」に取り組んでいます。設備の充実に加えて、起業家育成セミナーの授業科目も開設し、地域活性化や未解決な社会課題に果敢に取り組み、未来を創る人財を育成するアントレプレナーシップ教育を実施しています。さらに、本校は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の革新的衛星技術実証3号機に搭載される実証テーマに選定され、他高専と連携して超小型衛星の開発にも取り組んでいます。また、科学技術振興機構(JST)のジュニアドクター育成塾の事業にも採択され、「KOSEN教育の強みを最大限に活かした科学に熱狂的な情熱を持つジュニアドクターの育成」を通じて、次代を担う小中学生の理工系人材育成にも努めています。

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る