竹中研究室の研究テーマは大きくわけると以下の2つです.毎年配属される専攻科生・本科生の4,5名によって研究が進められています.
①無機リン酸塩の合成と熱挙動
リンの化合物の中でもリン酸塩の合成と熱挙動(加熱変化)について研究 しています.リン酸塩は化学肥料,食品添加物,水処理剤などに広く利用されていますが,このうち,縮合リン酸塩は一般にオルソリン酸水素塩の加熱によって 得られます.加熱によって得られる縮合リン酸塩の種類は原料の金属/リンモル(M2O/P2O5)比,加熱温度,水蒸気量などの条件に依存しますが,これら以外に第三成分として尿素をはじめとする有機窒素化合物の添加も影響を与えます.
②排出物の有効利用
漁業排出物(廃棄物)の再利用を中心に研究を進めています.希塩酸をはじめとする水溶液を用いてマダイなどの鱗からコラーゲンを分離する方法に関する研究や,主成分が炭酸カルシウムであるウニ殻,シジミ貝殻への重金属をはじめとする物質の吸着を調べています.
←マダイ鱗から作った活性炭の吸着試験の様子左:メチレンブルー原液
中央:900℃炭化 右:900℃炭化(塩化亜鉛賦活)
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~本科5年 渡邊健太~
卒研テーマ「リン酸アンモニウムコバルト(Ⅱ)水和物の熱挙動と色調変化
私の研究では,リン酸アンモニウムコバルト(Ⅱ)の1水和物について加熱に伴うリン酸塩の色の変化を見ています.このリン酸塩は鮮やかな紫色であり,無機リン酸塩顔料としての利用が期待されています.
←合成したリン酸塩の粉体(Co3(PO4)2・8H2O とNH4CoPO4・H2O)
合成条件(反応時間 等)によって色調が異なる.
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~本科5年 戸田博章~
卒研テーマ「尿素均一沈殿法を利用したリン酸銅(II)の合成」
私の研究では,硫酸コバルト(Ⅱ)水溶液とリン酸2水素ナトリウム水溶液の混合溶液から尿素均一沈殿法(尿素は加熱した時に水と反応し,アンモニアと炭酸ガスに分解し,水溶液の緩慢なpH 上昇をもたらします)を用いて,淡青色のリン酸銅(Ⅱ)を合成し,その色調などを調べるとともに,熱挙動についても調査しています.
←尿素均一沈殿法で合成したリン酸銅(Ⅱ)の粉体 |
~本科5年 幅田峻平~
卒研テーマ「シジミ貝殻による水溶液中の有機物除去」
昨年度,本研究室では焼成ウニ殻による水溶性有機物(グルコース,クエン酸)の吸着除去を行っていましたが,今年度は近隣の宍道湖で採取されるシジミ貝殻による有機物除去について研究しています.シジミ貝殻とウニ殻は同じ炭酸カルシウムですが,ウニ殻は結晶構造がCalciteであるのに対し,シジミ貝殻はAragoniteという結晶構造をしています.本研究の目的は,この二つの除去特性の差を見ることです.
~本科5年 るつぼ(HN)~
卒研テーマ「焼成ウニ殻によるF–, PO43-の除去
ウニ殻は毎年大量に廃棄されます.そのため本研究室ではこれまでにウニ殻を用いた水溶液中の重金属イオンやグルコースなどの水溶性有機物の除去について研究してきました.今年度はウニ殻(焼成ウニ殻)を用いたF-,PO43-の除去について研究しています.
←左:ウニ殻(焼成済み)右:シジミ貝殻の粉末(焼成前) |
研究室のモットー
- 「やるとき」には集中して行い,時間を無駄にしない
- 卒業研究・特別研究の成果は必ずどこかで発表する
の二つです.
H22年度研究室メンバー
- る つ ぼ:嫌いな食べ物はウニとしじみです。
- 戸田 博章:嫌いな食べ物はピーマンです。苦いです。
- 幅田 峻平:竹中先生は裏表のない素敵な人です(キリッ
- 渡邉 健太:好きなアンパンマンのキャラは「かばおくん」です。