本校GEAR5.0特命助教のグループにおける研究成果がアメリカ化学会材料化学専門誌のsupplementary coverに採択されました

概要
米子工業高等専門学校 総合工学科 化学・バイオ部門 清水剛志GEAR5.0特命助教
関西学院大学 理学部 化学科 豆生田匠海氏
関西学院大学大学院 理工学研究科 化学専攻 豊嶋広樹氏
関西学院大学 理学部 化学科 秋吉亮平 助教
東京工業大学 理学院 鎌倉吉伸 博士研究員
関西学院大学大学院 理工学研究科 若松 勝洋 博士研究員
関西学院大学 理学部 化学科 田中大輔教授
関西学院大学 工学部 物質工学課程 吉川浩史教授
からなる研究チームは、芳香族アゾ配位子アゾピリジン(azpy)と酸化還元活性なCu2+イオンを含む[Cu(pzdc)]レイヤーからなるCPL-4(組成式 : [Cu2(pzdc)2(azpy)]、pzdc- =ピラジン-2,3-ジカルボキシレート)が、ナトリウムイオン電池の正極活物質として有効にはたらくことを発見しました。
CPL-4は、アゾピリジンとCu2+イオンの高電圧における多電子酸化還元反応により、大きな容量と高電圧を示しました。この成果は、2022年4月6日付で、アメリカ化学会が刊行する材料化学専門誌 ACS Applied Energy Materials(Impact Factor=6.024)電子版掲載およびsupplementary coverにも採択されました。
 
本成果のポイント
・カルボキシレートが付加した芳香族アゾ化合物では低電圧1.2 Vの負極活物質でしたが、本研究ではアゾピリジンが電圧2.0 Vを示すことに着目し、芳香族アゾ化合物を正極活物質とすることに成功しました。
・酸化還元不活性なカルボキシレートの代わりにCu2+イオンを芳香族アゾ化合物と結合させることで、電解液への溶出による容量減少を改善するだけでなく、重量当たりの容量を大きくすることに成功しました。
・アゾピリジンを配位子とした金属有機構造体CPL-4は、SIBの正極活物質として優れた電池特性を示しました。また、LIBではCPL-4表面のみでイオン挿入/脱離が起きたのに対し、SIBではCPL-4内部までイオン挿入/脱離が起きたため、高容量を得ることができました。
・本研究成果で提案した、芳香族アゾ化合物などの有機化合物を正極活物質とするアイディアを用いることで、SIBをはじめとする次世代蓄電池の開発に繋がることが期待できます。
 
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論文情報
Application of Porous Coordination Polymer Containing Aromatic Azo Linkers as Cathode Active Materials in Sodium-Ion Batteries
Takeshi Shimizu, Takumi Mameuda, Hiroki Toshima, Ryohei Akiyoshi, Yoshinobu Kamakura, , Katsuhiro Wakamatsu, Daisuke Tanaka,*, and Hirofumi Yoshikawa,*
ACS Appl. Energy Mater. 2022.
 
掲載誌面は こちら
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