KOSEN-1衛星が新しいOBC宇宙技術実証に成功しました

米子高専を含む10高専(提案代表者:高知高専、共同実施者:群馬高専、徳山高専、岐阜高専、香川高専、米子高専、新居浜高専、明石高専、鹿児島高専、苫小牧高専)が共同開発した超小型人工衛星「KOSEN-1」は、2021年11月9日に打ち上げられた後、地球周回軌道上にて3つの新しい宇宙技術実証を行うよう準備を進めてきました。今回、最初の技術実証となる「衛星の心臓部に市販のLinuxマイコンボードを用いて運用する」という先進的な宇宙技術実証に成功しました。この技術実証は、超小型で低消費電力となる市販のLinuxマイコンボードを、衛星の心臓部となるOBC(Onboard Computer)に使用し、衛星で常時運用するという先進的な内容であり、OBCと連動した搭載カメラによる地球の写真撮影にも成功しました。

KOSEN-1衛星は、JAXAイプシロンロケット5号機によって打ち上げられた、国立高専で初めて開発された人工衛星です。正式には「木星電波観測技術実証衛星」という名称で、2018年12月にJAXA革新的衛星技術実証2号機に搭載される実証テーマに選定されて以来、50名以上の高専生が参加し、2年半かけて開発されました。衛星の心臓部であるOBCは市販のLinuxマイコンボードを使用しており、衛星用ソフトのプログラムを多くの高専生が共同開発しました。本校では、総合工学科(情報システム部門)徳光政弘 准教授と電子制御工学科の学生、生産システム工学専攻の専攻科生が協力し、地球の無線局と衛星間で通信を行うための衛星搭載の通信プログラム、地球の無線局で使用する通信プログラムの開発に参加しました。

 

 

2022年3月16日に取得されたKOSEN-1衛星が撮影した日本上空の画像データ
2022年3月16日に取得されたKOSEN-1衛星が撮影した日本上空の画像データ
(搭載した広角カメラによるもので、右下斜め方向に九州、四国、紀伊半島が見られる)

 

また、KOSEN-1衛星の地上局は全国に7局ありますが、そのうちの1局となる本校屋上に設置されたアンテナで定常的に衛星からのデータ受信等の運用を行っています。衛星から受信したデータは衛星運用やミッションデータの解析に活用しています。今回の地球の写真は、衛星から受信した特別な画像データを本校が開発したプログラムを用いて復元されています。KOSEN-1衛星は、引き続きOBCの宇宙技術実証を続けるとともに、残りの2つの宇宙技術実証にも挑戦します。

 

本記事に関する参考記事

高度560キロ!四国撮影 高専衛星、室戸岬など捉える
https://www.kochinews.co.jp/article/detail/552263

【高知高専】高専衛星KOSEN-1宇宙技術実証に成功!
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000148.000075419.html

革新的衛星技術実証2号機|JAXA|研究開発部門
https://www.kenkai.jaxa.jp/kakushin/kakushin02.html

高知工業高等専門学校/KOSEN-1インタビュー|JAXA|研究開発部門 革新的衛星技術実証プログラム
https://www.kenkai.jaxa.jp/kakushin/interview/02/interview02_16.html

革新的衛星技術実証2号機/イプシロンロケット5号機 特設サイト | ファン!ファン!JAXA!
https://fanfun.jaxa.jp/countdown/kakushin2-epsilon5/index.html

日本の宇宙開発の未来のために集結した14の技 -木星電波観測技術実証衛星 KOSEN-1 -革新的衛星技術実証2号機
https://www.youtube.com/watch?v=-eMpjZRi4Ds

革新的衛星技術実証2号機/イプシロンロケット5号機フライトシーケンスCGの紹介
https://www.youtube.com/watch?v=pLghraclhXs
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